お食い初めにたこを使う理由|赤ちゃんの健やかな成長との関係は?

お食い初めのお祝い膳のメニューや準備するものを調べている方は、コレだけは用意して後の物は用意しなくてもいいかな、と思ってしまうぐらい、お食い初めの時は御膳から食器など用意するものが多いですよね。その中に「タコ」を用意する地域があるのはご存知でしょうか?日本の風習の面白いところで、お住まいの地域のやり方によって少しずつメニューの内容が違ったり、箸で食べさせる真似をする時の順番や回数が違ったりしてきます。お食い初めのお料理でも、地域によって少し違ったりしてきますので、その事についてお伝えしてゆきます。

タコのイラスト

関西地方でお食い初めにたこを使う理由

生後100日祝いのお食い初めの時に歯固めの儀式をやる、と言うのを知っている方はいらっしゃると思いますが、その歯固めの時に、関西地方では「たこ」を使用する風習があります。なんで地方によって違うのでしょうか?色々な説がありますが、ご紹介致します。

 

赤ちゃんの幸せを願うため

大阪府や兵庫県などの関西地方では、お食い初めにたこを用いる習慣があり、祖父母や養い親がそのたこを吸わせたり口や歯茎に少しつけたりします。たこを使うのには諸説あります。

歯固め石の代わり

歯固めの時は歯固め石と呼ばれる小石をお宮参りなどの時に、神社からお借りしてきて使用する事が有名ですが、石ではなくタコを用いる理由として「なかなか噛み切れないタコが噛みきれるくらい歯が丈夫になりますように」との願いを込めて。

「食べることに困らないように」との願いから

お食い初めは「食べることに困らないように」との願いを込めて行う行事ですが、その言葉の頭文字をつなげて「た」べるものに「こ」まらないように、というところから。

たくさんの幸せを願って

たくさんの幸せ=多幸=たこ というところから。

 

お食い初めに出されるたこを使ったレシピの例は?

茹でだこ

皮や吸盤を取り除いておき、赤ちゃんの口に入っても大丈夫なようにしておく

※赤ちゃんが誤飲しないように十分に気をつけましょう。

煮物

だしと酒やみりん、醤油などで大根や里芋などと一緒に煮て味付けするといいでしょう。

酢の物

きゅうりやワカメと合わせると色合いも鮮やかできれいな仕上がりになります。

たこと里芋の煮物

たこ以外で歯固め石の代わりになるメニュー

先程たこを歯固め石の代わりに使う地域がある、とお伝えしましたが、小石やタコ以外の食材を使う地域もありますので、ご紹介致します。

アワビ

アワビが硬いことから、「丈夫な歯が生えますように」との願いを込めて使われます。岩手県などが多いようで、あわびをオーブン焼きにしたりするようです。

栗の実

栗の実が硬いことから、「栗の実を噛めるくらい丈夫な歯が生えますように」との願いを込めて使われています。また、出陣・祝勝に用いられた「勝ち栗」に由来する場合もあるようです。

紅白餅

昔は小石の代わりに縁起が良いことからお餅が用いられていました。「長持ちする」という言葉を長寿に掛けているとも言われています。

その他にも、梅干しのようにしわしわになるまで長生きするように、という願いを込めて梅干しを使用する地域もあります。

東京正直屋で販売している紅白一升餅

お食い初めで食べる主な料理

お食い初めでは様々な料理が用意され、実際に食べさせる真似をしますが、どんな食事を用意するのか、その由来も一緒に改めてご紹介致します。

七福神とは、福をもたらす神として日本で信仰されている、七柱の神様ですが、その中の恵比寿様が持っている魚が鯛で、古くから縁起物として食べられてきました。お食い初めの際には一般的に尾頭付きの鯛が用意されます。その理由は「首尾一貫」という言葉があるように、「初めから終わりまで一生をまっとうする」という意味もあります。また、おめでたい祝い事なので「めでたい」の語呂合わせからも鯛が使われます。

地域により、違う魚を使用する場合もありますので予め、ご両親に確認しておくのもいいでしょう。

赤飯

赤い色は古くより魔除けや厄払いの力があるとされていました。そこで昔は赤米を使って炊いていたご飯、赤飯も邪気を祓う魔除けの意味も込めてお祝いの席で振舞われるようになりました。「赤ちゃんが健やかに成長しますように」との願いを込めて食べられます。

お吸い物

一汁三菜の「汁」に当たるのが吸い物です。「吸う力が強くなりますように」との願いが込められていて、具材は貝が一般的です。その中でもハマグリは、ふたつの貝殻がピタリと合う事から「良い伴侶に巡り合えますように」という願いも込められています。そのほかには、筍や松茸など季節の具材が用いられる事もあります。

煮物

煮物は煮る食材によって縁起を担ぐ事が多く、地域や家庭によって煮物の種類は変わります。

里芋は多くの小芋を成すことから「子宝に恵まれますように」という願いから、れんこんは穴が開いていることから「先を見通せますように」という願いから、にんじんと大根はめでたい「紅白」の色合いから、煮物に良く使われる食材です。新年を祝うおせち料理のお煮しめにも同じ理由で様々な食材が使われます。

香の物

口の中をさっぱりとさせる意味を持ち、歯固め石の代わりにたこを用いる地域ではたこの酢の物にしたり、めでたい色の紅白から紅白なます、旬の野菜の漬け物などを用意します。

たことわかめの酢の物

何気なく食べている料理にも願いや想いがたくさん込められている

いつも家族の為にご飯を用意しているママは愛情を込めて、栄養バランスや彩り、好物などを日々考えて献立を作り、お料理していますよね。お祝い行事のお食い初めの時もそれは同じで、我が子の成長を喜び、今後も健やかに育って欲しいという想いが込められ、食べ物にこまらないように、と願う行事です。小さい頃は出てくるのが当たり前と思っていたお母さんのご飯も、沢山の愛情がこもっていたはずです。これから離乳食が始まるかと思いますが、自分の子供が大きくなった時にしっかりと沢山の人の愛情が伝わるといいですね。

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