関東地方と関西地方では、食文化の違いは色々ありますよね。お味噌が違ったり、お出汁が違ったり、お正月の御雑煮の味付けやお餅の形が違ったり。その土地により様々な伝統があるかと思いますが、食文化の違いは、その土地に住んでいる方からしたら当たり前の事でも、違う地域に住んでいる方からは不思議に思ったりする事もあります。お食い初めにも地域によって献立などが少し違う事もありますので、ご紹介していきます。
同じ日本国内でも地域によって、食材が違ったり、お祝いする日が違ったりと色々あります。それではまずは一般的なお食い初めについて、ご紹介します。
お食い初めのお祝いは赤ちゃんの生後100~120日の時期に行います。ちょうど100日目や120日目でなくても、赤ちゃんの健康状態や参加者の都合を考慮して日程を決めます。大安など、お日柄が良い日を選ぶご家庭もあります。
お食い初めには「お食い初め膳」または「祝い膳」と呼ばれる一汁三菜の豪華なお食事を用意します。一汁三菜とは一般的に、ご飯、吸い物、魚、煮物、酢の物の献立と言われており、お食い初めはお祝い行事なので、ご飯を赤飯にして魚を鯛にするなど縁起のいい食材が多く使用されます。それを盛り付ける食器は伝統的には漆器を使用すると言われています。
お食い初めの際に歯固めの儀式を行うために必要になります。生後約一カ月でのお宮参りのとき神社でいただく場合があります。その他には、神社からお借りしたり河原から拾ってきた石を使用します。その場合は良く洗って清潔にしましょう。最近では通販でも購入可能です。
赤ちゃんが一生食べ物に困らない様にと願いを込めて、食べ物を食べさせる真似をします。赤ちゃんの口の近くに箸で料理を近づけて、ご飯、吸い物、ご飯、魚、ご飯、吸い物という順番で3回繰り返します。その後に歯固めの儀式を行います。歯固めの石にお箸を軽く当ててから、箸を赤ちゃんの歯茎にそっと当てます。「赤ちゃんの歯が丈夫になるように」という願いを込めながら行いましょう。
それでは、一般的なお食い初めと関西地方のお食い初めでは何が違うのはご紹介します。
関西地方では、小石の変わりに縁起のいいタコを使用する場合もあります。多幸の語呂合わせや、「吸盤のようにきれいな歯並びになるように」という意味が込められています。実際に赤ちゃんに食べさせるわけではなく、口元に近づけるだけです。茹でダコにして使用するのが一般的で、万が一赤ちゃんがくわえてしまっても問題ないように、吸盤はあらかじめ取りのぞいておくと良いと言われています。その他にも酢の物や煮物にしたタコを使うこともあるようです。
ホウボウという名の魚も鯛と同様に赤い色をした魚です。赤い色は魔除けや邪気を祓うと言われています。これを尾頭付きで準備します。「頭の骨が硬くなるように」「夜泣きをしないように」といった願いが込められていると言われているようです。
一般的には100日目~120日目くらい、と言われている儀式の日程を先に伸ばすことで、赤ちゃんが長生きできると考えられています。これを「食い延ばし」と呼び、一部の地域では少し遅れてお食い初めをする事もあるようです。
日本の各地に様々なご家庭があるように、様々なお祝いの仕方がありますのでその一例をご紹介致します。
北海道や東北地方では、お赤飯を炊く時に小豆ではなく甘納豆を使ってご飯を炊く家庭があります。そのお赤飯は甘く、食べた事の無い方は少しびっくりしますが食べると美味しいですよ。また、寒さの厳しい時期の外出を避けるため、お宮参りとお食い初めを一緒に行う風習があります。
博多のお食い初めでは、漆塗りの器ではなく「ぽっぽ膳」という器を使用します。「ぽっぽ膳」とは、樹木を丸く曲げて底を付けた博多曲物と言われる器のことです。これは子どもの健やかな成長を願うもので、七五三のお祝いにも使われるそうです。
パパとママの出身地が違い、お互いの親にお食い初めの事を聞いたら、用意する食材が違った、なんて事もあるかもしれません。大切なお祝い行事ではありますが、食器から食材から当日の場所まで全部ママが準備する、となると大変ですので、家族で話し合って決めるといいでしょう。歯固め石の変わりに、タコでもなく、栗や梅干しや餅を使う地域もあり、違いを探すのも楽しいですね。
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